40 2003.2.7


              

「損害保険産業は平和産業である。」・・・私たちはこの旗を高く掲げ続けます。
この旗を掲げ続けるところに、私たち「大阪損保革新懇」の志があり、
また存在する理由があるからです。

 アメリカは国連安全保障理事会に、イラクの国連決議違反の【証拠】なる物を持ち出し、いよいよ戦争に踏み込もうとしています。
「国連の枠ぐみで平和解決を」と国連が決議をしているのに、アメリカがこれに反しイラクを攻撃することは許されません。
 ところが、日本政府は戦争にそなえてはやばやと自衛隊のイージス艦を派遣してしまいました。各国が平和への努力を強めているのに、情けないかぎりです。

「イラクへの戦争はやめて」――今、世界と日本で、イラク問題の平和的な解決を求める声が、日々広がっています。
先日は、アメリカの対イラク戦争に反対する大規模な運動がアメリカを含む世界三十カ国以上で取り組まれました。日本でも、多くの有名・無名の方々が声をあげています。

私たちがイラク戦争に反対するのは、第一に、罪なき人々が"無法な力"によって殺されることは許されない、ということです。この戦争が引き起こされたとき、罪のない子どもたち、女性、男性、お年寄り、これらの人々がどれだけ犠牲になるか、計り知れません。
対イラク戦争は砂漠のたたかいではなく、バグダッドの市街戦になるだろうと言われています。バグダッドには五百万人もの人が住んでいます。そこを舞台に戦争が行われた場合、何十万人という人が犠牲になります。
第二に、この戦争は、イラクだけにとどまらない危険があります。動乱はイラクにとどまらないで、パレスチナ・イスラエル紛争や、中東全域を巻き込むことになりかねません。イラク攻撃は「中東の地獄の門を開ける」のです。
そして、この結果が世界に与える社会的・経済的影響は、だれも予想がつかないのです。
第三に、殺されるのは罪なき人々だけではありません。国連憲章が殺されます。アメリカの横暴勝手を許せば、世界はまさに無法と脅迫と恐怖の力が支配する、恐ろしい二十一世紀になってしまいます。
イラク戦争を許さないということは、二十一世紀の世界の秩序はどうあるべきかという大きな問題とかかわることなのです。

保険は平和産業
私たち「大阪損保革新懇」は、「損害保険産業は、戦争で発展する産業ではなく、世界の平和や日本経済の健全な発展と国民生活の向上とともに地道に成長し、その発展と向上を支える産業」だと考えています。
第四回・第五回総会アピールでも、その考えを明らかにしています。

第二次世界大戦が終わった時、損害保険産業の再建に携わった先輩たちは、「保険は平和産業」を合言葉にしていました。
損害保険の科学性や商業ベースでの合理性を無視して国の政策である戦争の流れに組み込まれた時にどんなひどい結果がもたらされるのか、その恐怖を身にしみて感じとったからでした。

国策による「戦争保険」の引き受けで、収入保険料の何倍・何十倍もの保険金支払の責務を負いました。加えて支払のための資金は「国債」中心に運用するしかありませんでしたので、敗戦で、その「国債」が紙くずになってしまったのでした。
また、戦争で国民や企業の資産が焼失したため、保険市場そのものが大幅に失われたのです。
まさに「ゼロからの出発」でした。

第二次大戦時、日本の戦争保険の事業成績

保険種類

収入保険料

支払保険金

倍率

陸上戦争保

7億3,860万円

462億7,660万円

62.7倍

戦争死亡傷
害保険

1億6,036万円

 7億6,545万円

4.8倍

海上戦争保

3億7,901万円

17億3,866万円

4.6倍


長く損保協会専務理事を務められた塙善多氏は当時東京海上の戦争保険課の係長だったそうですが、終戦直前の状況を、「戦争保険の仕事は、空襲で焼け出された人々に対し書類上の処理で罹災証明書を持っている人に保険金を支払うというものでした。保険金請求の人は、数百メートルも並び、一方、会社の社員は徴兵等で少なく、まさにその受付業務は戦場のような騒ぎでした」と自らの著書で記されています。
 戦争危険の引受が商業ベースで引き合わない事は今でも同じです。
一月二十五日付「ロンドンタイムス」は、英国の複数の大手生命保険会社が、「経営上の危険が大きすぎる」と、対イラク戦争に備えて中東に展開する兵士の保険を引き受けない方針を決めたと報じています。