NO.28 2001.12.26


職場で一歩踏み出す勇気を!「百合子と私」に94名が集う


 「今このときを、女性が自分らしく生き、働き続けるために…」をテーマ大阪損保革新懇主催の女性の集い、講演会「百合子と私」が12月14日(金)大阪府商工会館で開かれ、94名が集いました。坂井希さんの講演と4人の職場からの報告が行われ、まとめの発言では、「厳しい職場だからこそ、仲間と語り合い、声を上げ、職場で一歩足を踏み出そう」とよびかけました。

 話し合い、声を上げれば、社会は動き、変わります!


 メイン講演は、「就職難に泣き寝入りしない女子学生の会」初代代表で現・日本民主青年同盟委員長の坂井希(のぞみ)さんが「百合子と私」と題し、宮本百合子の小説『自信のあるなし』の朗読ではじまりました。ついで、坂井さんは「女子学生の会」の活動経験を報告しました。

★「会」を立ち上げたのは、「女子学生はやる気・能力が男子より劣っているから…」と、 就職に際してスタートラインにすらつかせてもらえないことへの怒りだったこと。

★「会」はたった3人ではじめたけれど、マスコミに取り上げられたり、同じ思いをして いた仲間が日本のあちこちで立ち上がり、全国に広がり、今も新しいメンバーに引き継がれ運動が継続していること。

★支えになったのは、仲間であり、話し合うことだったこと。

★あきらめずに、おかしいことに対して声をあげれば、社会は動き変わること。

 などを語りました。ついで、宮本百合子との関わりを次のように話しました。

★高校時代、進学で悩んでいた時、今日最初に朗読された『自信のあるなし』に出会い、「結果の成就でなく、行為の動機が人間としてやむにやまれない力におされてのことだという自信があってこそ、やってみる勇気を持ち得る、そして人間としての豊かさを増してゆけるのだと思う」という言葉に励まされたこと。

★百合子自身も、最初から完成された女性であったわけではなく、悩み、失敗を繰り返しながら、自分を確立していったことを知り、より身近な先輩としてとらえることができたこと。

 坂井さんは最後に、「出口の見えない不況に小泉内閣の悪政が追い討ちをかけています。嵐を避けるために首をすくめても自分の生活さえ守ることが難しい時代だからこそ、自分の幸せ、まわりの幸せを考え、一歩を踏み出すことが大事ではないでしょうか」と呼びかけました。

職場からの報告1
『職場に笑いを取り戻すために いま本当に仲間が必要です』

 職場と仲間に恵まれて残業もせずに、仕事と子育てが両立できてきました。しかし、合併か決まり、早期退職制度で多くの仲間がいなくなって職場は一変しました。山積みの書類、合併新会社での新しい業務のための研修、半強制的な各種資格への挑戦…。

 一生懸命やっていても起きるミスをとがめられ、結果がすべての職場になっています。「できないのなら辞めろ!」と言われているようでたまりません。

 でも、職場にはまだまだたくさんの仲間がいます。仲間としゃべっていると笑いも取り戻せます。仲間と一緒に楽天委を失わずがんばっていきます。 
                                                      職場からの報告2

『女性が生き生き働ける社会は男性も働きやすいはず 今、少しの勇気を出して』

 4月の合併から9ヶ月、いまだに退職者は後を立たず、人事異動も頻繁です。厚生労働省から通達が出されていても、サービス残業も長時間労働も残業料不払いもあいかわらずです。でも、私は組合の取組の中で実態通りの残業料を請求し続けています。職場の仲間にもよびかけて取り組みました。そんな中で、新入社員も実態にまで行きませんが、残業料を取ることができ、朝礼の時間も改善されました。また、退職者の補充もきちんとされています。女性が生き生き働ける社会は、男性も生き生き働ける社会のはずだと思います。そのために今少しの勇気が必要です。その勇気はお互いに励まし合うことから出てきます。この勇気が後に続く娘や息子たちが生き生きと働ける社会につながると思います。

職場からの報告3

『1万分の1でもゼロではない 対話は心の懸け橋!』

 損害調査の職場で悪戦苦闘しています。元気印の私がこうなるなんて自分が一番ビックリしています。合併はなにもいいことがありません。
▼年収は百万単位でダウン
▼凄まじい残業
▼ボロボロになって辞める仲間。
 子どもさんと二人暮らしの女性と話をしました。残業が続くお母さんを9才の子どもさんが夜の9時・10時まで食事をとらずに待っているそうです。胸が締めつけられる思いでした。聞いてあげるだけで、何もしてあげられない自分でした。でも彼女は、「話をして少し元気が出ました。ありがとうございました」と言って「これだ!これならできる」と思いました。1万分の1の力でもゼロではない。たくさん集まればがんばれる!そう思いました。対話で心の架け橋をかけあってがんばります。

   

職場からの報告4

『我慢してよくなることはない 顔は後ろ向いていても爪先は前に』

 残業の後、仕事を家に持って帰る毎日です。いくら頑張っても、自分がしたミスの後処理で時間がなくなり、自分で自分を責めて落ち込むこともしょっちゅうです。会社の経営実態も明らかにせず、実態を無視した要員の配置をして人を減らし、「なんでできないんだ!」なんて冗談じゃありません。「私は魔法使いじゃない!」と叫びたい。我慢してよくなる、なんとかなるなんてことはありません。これまでのいい制度はすべて、みんながひっしで頑張って作ってきたものばかりです。もっと力をつけて、たくさんの女性と思いを一つにできたら…、この「つどい」をきっかけに女性のネットワークができたら…と思っています。私も苦しくて、顔が後ろを向いてしまう時もあります。でも、爪先だけは前を向いて生きていきたいです。

まとめの発言

『職場で一歩踏み出す勇気を今』

 いま、この日本を覆っている重たい空気はなんでしよう?長時間労働、リストラ、倒産、失業、自殺…こんな日本でいいはずはありません。私たちはこんな中だからこそ、しっかり勉強し、集まって思いを語ろう、そして元気になろう…という思いで、今日の「つどい」を開きました。みなさんに「ギブアップ」宣言を提案します。「私たちはもう十分働いています。命をかけてまでは働けません!」そう宣言しましょう。

 私たちは社員である前に人間です。明るく、笑って仕事がしたいのです。そのために、職場で一歩踏み出す勇気が必要なのではないでしょうか。みんなで知恵を出し合いましょう。まず隣の人に声をかけることからはじめましょう。

 二次会=交流会も大賑わい!! 食べ、飲み、語り合って…

「つどい」終了後、近くの居酒屋さんで交流会を開きました。予約した席では足りず、詰め、ツメ状態でしたが、坂井さんも加わって、仲間どうしで、おおいに語り合うことができました。また、会いましょう。

(この号にはこの「つどい」の模様を報じた2001年12月17日付『しんぶん赤旗』大阪のページと2001年12月23日付『大阪民主新報』記事を全文紹介しています)