No. 8 1999.3.4.

‘98ブロック別地域革新懇・職場革新懇交流会の記録

日本の民主的改革めざし革新懇を網の目に

 昨年12月12日、「全国革新懇・近畿ブロック革新懇」交流会が開催され、大阪損保革新懇から野村・中井・三浦・阿部・松下5名の世話人が出席しました。午後の職場革新懇交流会の席上、野村世話人は「大阪損保革新懇」結成の経過・教訓、今後の活動の決意などについて発言しました。 このほど、この交流会の発言記録集「日本の民主的改革をめざし、革新懇を網の目に」が発行されました。この発言集の中に野村世話人の発言内容とともに元興亜支部委員長で静岡県韮山革新懇代表世話人の広田学紀氏や元朝日支部「朝日のたたかう」仲間で愛媛金融革新懇事務局長の八木隆氏の発言も掲載されています。



所属労組をこえて革新3目標で入会

   大阪・損保革新懇代表世話人  野村 英隆

 私たちの革新懇は、二ヵ月前に結成したばかりの“新参”革新懇であります。居並ぶ先輩革新懇のみなさんの前で発言できることを光栄に思います。私は、@結成準備段階の教訓A大阪損保革新懇の特徴B損保革新懇運動の課題と決意について報告したいと思います。

 ことしの正月頃から一部有志のなかから、「激動の損保情勢のなか、損保革新懇がいまだに結成されていないということはどういうことか。大阪のホワイトカラー労働組合運動や金融労働組合運動、さらには民主勢力の一員としてそれなりの役割を果たしてきたと自負できる全損保大阪地協OB・現役がいっしょになって損保革新懇を結成しようじゃないか」という機運が生まれてきました。

 四〜五月段階では準備会の数名で、情勢認識からめざす損保革新懇の骨格となる結成準備アピール・スローガン・規約・財政・会員数・加入・募集の方法を討議し、秋頃か年明けには結成をめざそうということになりました。ついで、六月には十五名の発足準備世話人会に拡大し、さらに数十名規模の“呼びかけ人団”の組織化をめざしました。

 七月末に、第一回“呼びかけ人団”会議を開くに至りました。この顔ぶれにはかって様々な時期に組合活動だけでなく、文化・スポーツ活動で活躍された比較的知名度の高いみなさんが揃い、年代も三〇歳代から八〇歳代に及び、またOBと現役がほぼ半々を占めるという多彩な構成となりました。多くの人から「よくぞこれだけの顔ぶれを集めたな」という感想も寄せられました。

 九月初旬の第二回“呼びかけ人団”会議では、会員が百五十名を超えたことを確認し、もうひとふんばりして、結成総会までに会員二百名を超え、結成総会は百五十名以上をめざすことを確認しました。「大阪損保革新懇ニュース」を第三号まで発行しました。

 十月十六日、結成総会の日は、台風接近中という悪条件でしたが、私たちの不安は杞憂に終わり、百八十名の仲間が参加し、結成総会は大成功をおさめました。小西和人大阪革新懇代表世話人から結成総会にふさわしい感動的な記念講演をいただきました。

 総会後、雨の中の遅い時間からの懇親会にも百二十名の仲間が集まり、互いに新発足を喜び合うことができました。この日の結成総会の模様は「しんぶん赤旗」「大阪民主新報」保険業界新聞である「保険毎日」新聞、全損保の有志が発行する「損保のなかま」などがとりあげました。総会当日、会員は二百二十五名でしたが、その後も徐々に会員は増え、こんにち三百六名というところに至っています。

 さて、私たちは準備段階の教訓として、次の諸点を列挙したいと思います。

  • 準備会、世話人会、呼びかけ人会、職場世話人会と除々に仲間の輪を広げていったこと。
  • 都度の会議で到達点と次の課題を相談し、確認していったこと。
  • 特定の時期・時代に偏らず、様々な時期に活動した幅広い年代層の方々の協力を得ることができたこと。
  • 現役とOBがいっしょに力を合わせたこと。また、この人たちが先頭に立って革新懇結成の必要性を周辺の仲間に訴えてくれたこと。
  • 毎回の会議の後、懇親会でみんなで酒を飲んで明るく語り合ったこと。
  • 結成前から「大阪損保革新懇ニュース」を発行できたこと。
  • 結成総会を内外のマスコミに公開したこと。

などを準備段階の教訓として挙げることができると思います。

 次に私たちの革新懇の組織的な特徴について触れたいと思います。

 現在、損保労働者の組織は大きくいって全損保、損保労連、単独労組の三つに分かれ、さらに関連・関係会社の多数の未組織労働者がいます。

 ところで、今回誕生した「大阪損保革新懇」の会員・賛同者には全損保現・元組合員、損保労連現・元組合員、単独労組現・元組合員、損保保険代理店、事故調査を担当するアジャスターのみなさんが参加しています。

 このことは文字通り、思想・信条・所属組合・現役・OBの違いをこえた損害保険産業では初めての横断的組織で、画期的な組織ということができます。したがって、この革新懇は、「全国革新懇」が掲げている「考え方や立場が異なっていても、“革新懇三目標”を一致点にして自由に話し合い、必要な協力・共同を進めていく」という方針を実行するのにふさわしい特徴を持っているということができる訳であります。これはこの革新懇の組織上の大きな特徴といっていいと思います。

 最後に損保情勢と私たち革新懇の課題と決意について触れたいと思います。

 いま、銀行・証券・生保のなかでおきていることは、みなさんご承知の通りであります。損保も同様であります。財閥系大手損保では系列グループ金融会社間の提携をはじめ、投資信託参入、外資との提携などの動きが活発化しています。また、外資系損保の進出やトヨタの損保進出やすでにセコムの損保進出が具体化しています。

 料率・商品の面では、ことし七月から料率の本格的な自由化時代に入りました。みなさん、テレビ・新聞での激しい広告などでご存知の通り、外国保険会社が発売している自動車保険の値引き商品に対抗して、国内社が新型自動車保険を発売し、激しい競争を繰り広げています。火災保険でも企業分野でのリスクや採算を度外視した保険料値引き競争も熾烈を極めています。

 こうしたモラルを逸脱した過度の値引き競争は、「一人は万人のために、万人は一人のために」という損害保険の基本理念と補償機能の発揮という損害保険の社会的役割発揮を自ら放棄し、健全な損保産業の発展を妨げかねない状況を作り出しています。このもとで個別経営者は、生き残りをどう図るかを命題にして、すべてのしわ寄せを労働者に押し付けようとしています。

 私たちは、結成アピールのなかで、次の内容を確認しています。「私たちは昨今の政治・経済・損保情勢を考えるとき、現役とOBが共に手を組んで、「革新三目標」や損害保険産業の民主化を求めて奮闘することが求められていると感じざるを得ません。私たちは損害保険産業の労働組合と組合員が、損害保険産業で働くすべての者の雇用・労働条件を守り、損保の民主化、日本の平和と民主主義のために奮闘されることに協力・共同していきます。また、私たちは年金・社会保障・医療・介護・平和・核廃絶・教育・食料・環境などの幅広い市民的課題に取り組み、住民本位・国民本位の社会をめざして努力していきます」として、いくつかの具体的な課題を明らかにしています。

 私たちは先週、革新懇発足後第一回目の「ダイオキシン」勉強会を参加者六十名で成功させました。二月には映画「ブラス」の上映会に取り組み、五百名参加をめざします。三月には教育問題に関する勉強会を計画しています。新年の世話人会議で、大阪府知事候補・あじさか真さんの推薦を決議したいと考えています。

 結成総会後のアピールでは、「私たちは生まれてホヤホヤの革新懇ですが、その思いと決意は高いという自信をもって少しずつ着実に前進を図っていこう」という内容を確認しましたが、改めてこの席から「少しずつ着実に前進を図っていきます」という決意を表明して発言を終わりたいと思います。ありがとうございました。