朝日火災・川島美代子さんの願い


朝日火災和歌山営業所勤務の川島美代子さんは、2002年末より「急性肝炎」により体調を崩され、入院・加療をおこなってきました。
職場復帰にあたり、「今の労働条件では健康に、はたらき続けることができない」と、朝日火災に対して、「当面の勤務時間の短縮」と「近距離通勤可能な店舗への異動」を要望しています。
「健康に定年まではたらき続けたい」というのは、はたらく者としての当然の主張です。
しかし、朝日火災は、2度の肝炎発症で健康を害し、主治医からも「当面、午前9時から午後3時の勤務また、今後、近距離の通勤が望ましい」という診断を受けている川島さんに対し、配置転換・人事異動などの措置をいまだにとろうとしていません。

こんど発病したら・・・
川島さんは、94年の3月末にも「急性肝炎」を患い約4ヶ月の入院・加療をしており、今回の発病で2度目の入院です。主治医からも「こんど発病したら、働き続けることは困難になる」と言われており、生命と健康とともに、はたらく権利を奪われてしまいます。

長時間通勤と女性一人の職場に21年間も
----2度の発症原因はストレス
川島さんは、1982年4月に大阪支店から和歌山営業所に配転されて以来、21年もの間、往復4時間をかけての通勤を余儀なくされています。
また、和歌山営業所は、所長と営業社員、女性は川島さん一人という3名体制の少人数職場であり、代理店・契約者との営業・査定両面での電話対応、計上や経理業務など、川島さん一人で担ってきました。その上、配転当時には、新宮にある駐在所にはPC端末がなかったため、新宮営業所の契約関係や経理関係の入力もしなければならないなど、劣悪で長時間に及ぶ勤務にさらされ続けてきました。
主治医も、2度の肝炎発症の原因はストレスであると明言しています。
----上司からの嫌がらせも
また、体調のこともあり「残業はしないように」と心では思っていても、残る仕事を目の前にして帰れないのは何処の職場でも同じです。
やむなく残業をおこなった川島さんが残業料を請求すると、所属長は「残業命令をしていない」「そんな人はここでは勤まらないから明日からこなくてもいい」などの発言をしてきました。これもまた、川島さんのストレスの原因となってきたことは間違いありません。

こんなにかかる通勤時間
(川島さんは大阪市阿倍野区在住、以下は9時出社、17時定時退社の場合の例))
往 7:10自宅を出る  7:25地下鉄阿倍野駅発
  7:43JR天王寺発 8:44JR和歌山着 8:52会社着
復 5:39JR和歌山発 6:44JR天王寺着
  6:53地下鉄天王寺着7:15自宅着
帰りは通勤快速が30分に1本しかなく、乗り遅れると待ち時間も加算され、「疲れきって特急料金を払ってでも、「くろしお」で帰りたい」と思わせるほどです・・・

はたらく権利が脅かされる!
川島さんは、近距離通勤で残業が無ければ元気に働きつづけることができます。
川島さんにとって、「はたらく場が与えられない」「はたらけない」ということは、生活の道を断たれてしまうことです。
今回の問題は、生活のためにもはたらき続ける必要がある川島さんのはたらく権利が脅かされているという問題でもあります。
日本国憲法第27条第1項は「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」と定めています。 また、第25条第1項では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」としています。
健康ではたらきつづけることは、はたらく者の権利なのです。

企業の社会的責任
いま、過労死、過労自殺は言うに及ばず、長時間労働とサービス残業(厚生労働省は「賃金不払い残業」とハッキリ言っています)など、働く条件が大きな社会問題となり、企業の労働者・従業員に対する「安全配慮義務」について、従来の施設や設備に就いての配慮義務から「業務の遂行に伴う疲労や心理的負担が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務」までの広範なものとする判例が確立されつつあります。
朝日火災ばかりでなく損保各企業には今、サービス残業の根絶はもちろん、超長時間労働による身体と精神の健康破壊、家庭生活をはじめとする社会生活・社会活動のための時間の喪失などを抜本的に改善することが求められています。