大阪損保革新懇の活動報告7                                                                                                        『損保産業の民主的な発展を求めて』

                   (雑誌『前衛』、2001年3月号掲載)

                   大阪損保革新懇 代表世話人野村英隆

毎回の総会の成功が活動の力に

 大阪損保革新懇(21世紀の平和・民主主義・革新と損保の民主化を求める大阪損保革新懇話会)は1998年10月、全国革新懇が提唱する革新三目標と損害保険産業の民主化を求めることに賛同する損害保険関係者の現役とOBによって結成されました。

結成総会には182名の仲間が出席、懇親会には120名が参加し、発足を喜び合いました。

 結成2年目、1999年10月の総会には元経済同友会副代表品川正治氏を招き、記念講演『これからの損保産業』には361名が参加、多くの職制・非組合員が聴講するという状況となりました。

2年目の活動は、この講演内容に現実の職場の問題点と私たちの主張を重ね合わせたブックレット『損保の未来』を刊行。

刊行記念シンポジウムの開催とこのブックレットの普及活動を展開、全国に7500部を普及するなど損保の民主化をめざす取組を中心に進めました。

 結成3年目、昨年10月の第3回総会には宗藤泰而弁護士を招き、記念講演『21世紀、人間らしくどう生きる』に186名が参加、全員が感動・感銘を覚えました。

総会ではこの1年の活動を総括し、これから1年の活動アピールを満場の拍手で確認しました。

300人を越える組織に発展 

 現在、大阪損保革新懇の構成は20をこえる企業の300名以上の仲間によって組織され、年代は20才代から80才代まで幅広く、現役とOB、男性と女性がほぼ相半ばしています。

特徴は思想・信条・所存組合・組合の有無・現役・OBの違いを越え、会則に賛同する人は誰でも自由に入会できます。会則五項目に「自分に合わない活動は強要・強制はしません」とうたう、損保では初めての横断的な組織で、ホワイトカラーの職場革新懇としても注目されています。

私たちは激動の金融・損保再編情勢の中でこれからますます力量を強め、高めることが問われています。いま、私たちは仲間400名をめざす取組を進めています。

結成準備段階の教訓

 1998年の春頃、一部有志の中から損保革新懇結成の機運が生まれ、5人で準備会を発足しました。

情勢認識・世話人への呼びかけ・結成呼びかけアピール・会則・会費・目標会員数・加入募集方法などの検討を開始しました。

6月段階では15名が結成準備世話人に賛同してくれ、さらに数十名の呼びかけ人団の組織化をめざしました。

7月末には第1回呼びかけ人会議を開くに至りました。この顔ぶれにはかつてさまざまな時期に組合活動だけてはなく、文化・スポーツ活動で活躍したかなり知名度の高い皆さんが揃い、年代も30代から80代に及ぶという多彩な構成となりました。

9月初旬の第2回呼びかけ人会議では会員が150名を越えたことを確認し、10月の結成総会開催を決定しました。

結成総会には180名以上の仲間が集い、こうして私たちは革新懇運動の隊列に加わることになりました。

私たちは結成準備段階の教訓、結成総会の成功の要因を次のように整理できると考えています。

〇準備会・世話人会・呼びかけ人会・職場世話人会と徐々に仲間の輪を広げていったこと。

〇それぞれの会議で到達点と次の課題を相談し、確認していったこと。

〇さまざまな時期、さまざまな課題に活動した幅広い年代の人たちの協力を得たこと。

〇現役とOBが一緒になって力を合わせ、周囲の仲間に訴えていったこと。 

〇毎回の会議の後、懇親会で酒を飲みながら、明るく語り合ったこと。

〇結成準備段階から「大阪損保革新懇ニュース」を発行できたこと。

 私たちのこの経験と教訓は今後さまざまな地域と職場で革新懇を結成されようとする際に活用していただけるものと思います。

多彩なイベントが魅力に

 私たちは結成以来さまざまなイベントに取り組んできました。

 1999年2月、265名が参加した川田悦子さん講演会の成功には婦人会員の大奮闘がありました。

映画「ブラス」上映会では400名を越える損保の仲間・友人・家族が鑑賞しました。

99年夏の「広島・南光町平和バスツアー」には多くの小学・中学生が参加し、原爆記念館見学の体験記を寄せてくれました。

第2回総会の『品川講演』では損保全社の関西の代表役員を招待したり、非組合員に呼びかけたり、手紙を出すなどを取り組み、その結果、40人を越える現職の管理職・代理店主を含む360名以上の仲間の参加を実現しました。

 2年目の活動は、この記念講演録と現実の職場の問題点と私たちの主張を整理したブックレット『損保の未来』の刊行、ブックレット刊行記念シンポジウムの開催、ブックレットの普及活動などを中心に進めました。

ブックレット『損保の未来』は保険業界紙を含めいくつかのマスコミが取り上げたり、会員の奮闘もあって全国で7500部を普及することができました。

さまざまな組織と人から多くの反響・意見が寄せられました。いずれも損害保険産業の民主的な発展をめざす立場からのものでした。

 なぜ、ブックレット『損保の未来』はこのような成果を生み出したのでしょうか。

それは私たちがこの取組を進めた時期は金融危機の最中、損保においても大型合併・統合計画が続々と発表され、また第一火災の経営破綻が明らかになった時でした。

合併構想中の社長はこぞって業容拡大と効率化をめざすと語りましたが、従業員・代理店を大切にするとか、労働組合との関係を大切にしたいという社長はいませんでした。

 私たちはこのような時期にこの産業の役割と誇りと改革の方向を示したブックレットの内容は損保内外の多くの仲間の要求や感情とマッチしたからこそ、このように運動が進み、反響を呼んだのだと総括しています。

 私たちはさまざまな取組に対して、職場世話人会が職場の仲間たちに大胆に訴えていった課題やイベントは必ず成功を収めるという教訓を積み重ねました。

イベントや総会後の懇親会には毎回100名を越える仲間が交流し、語り合う情景も定着してきています。この間、「大阪損保革新懇ニュース」を24号発行しました。

労組との協力・共同をすすめて

 この1年、損保業界では損保間だけではなく、生保・銀行・他業界との大型の再編・合併・統合・業務提携計画が続々と発表され、具体化が進行しています。

すべての経営者は経営危機感をあおり、企業の生き残りを強調し、あらゆる面で労働者犠牲の「効率化」「合理化」を強行しようとしています。

多くの会社で希望退職募集が強行され、損保で働く仲間の不安と動揺が広がっています。

 このように損保再編情勢が激動するなかで損保の労働戦線・労働運動の面でも複雑な状況が生じています。

私たちはつどの総会アピールで革新懇と労働組合との関係について、『私たちは、損保産業のすべての労働組合と組合員が損害保険産業で働くすべての人たちの雇用と労働条件を守り、損害保険産業の民主的な発展に努力・奮闘されるよう協力・共同していきます』という方針を確認しています。

私たちは損保労働者と労働組合が直面している情勢を考える時、今日ほど労働組合は原点に立ち返り、組合員の団結と利益を守るため力一杯奮闘が求められている時はないと考えます。

この立場から私たちも奮闘する労働者と労働組合と協力・共同を進めていきます。

 私たちはいま、21世紀の入り口に立っています。

20世紀の最後の10年間、自民党による政治・経済支配はゆきづまり、危機はいよいよ深刻になってきています。

自民党は自公保の数合わせ連立内閣で延命を図っていますが、国民の暮らしは展望のない苦難の道におとしいれられています。

私たちも切実な国民・市民的要求の実現と解決をめざし、力量をつけ、仲間を増やし、平和・民主主義・生活向上・損保の民主化に向け、全国の革新懇運動発展の一翼を担って奮闘していきたいと思っています。