2003年10月15日

大阪損保革新懇第六回総会開会挨拶

大阪損保革新懇代表世話人 野村英隆

 みなさん、今晩は。代表世話人の野村です。世話人会を代表して開会のごあいさつを申し述べます。みなさん、本日はお忙しいところ大阪損保革新懇第六回総会にご出席くださいましてありがとうございます。今回もまた多くの仲間の参加のもとに開会できることを喜び合いたいと思います。

 私たちは5年前、半年にわたる準備・呼びかけの活動を経て、この会場で結成総会を迎えました。当日は台風接近中で風雨の激しい夜でしたが、180名を超える仲間の参加で結成総会が盛会におわり、二次会にも100名を超える仲間が参加し、新たなスタートを喜び合ったことを思い出します。

 あれから5年、私たちは多くの取り組みを通じて感動・勇気・元気を分かち合い、多くの経験と教訓を積んで、本日の総会を迎えることができました。私はこの席から六度目の開会挨拶の機会を与えられましたが、少なからずの感慨を覚えます。

 2年目の品川講演『21世紀の損害保険産業の新しい進路』で、品川さんは損害保険に求められている対応として、「料率競争に歯止めをかける」「リストラは損保の社会的役割発揮と矛盾する」「代理店制度を守る」の三点を指摘され、その上で損保産業が国民生活の安心と安全を守るセーフティ・ネットワーク産業として発展していくことが新しい進路だと強調されました。

 私たちもこの講演を受けて、ブックレット『損保の未来』を刊行し、この産業の民主的な発展を訴えました。しかし、その後の損保産業の実態はどうでしょうか。大型合併が進み、労働組合の分裂・脱退攻撃も続き、今日の事態に進んでいます。最近は金儲けのためには何でもやるということを「経済合理性」という新語で呼び合い、その結果、この産業の誇りやモラルが失われ、今日の損保産業の姿と職場の状況を作り出しています。

 

 このような情勢が進む中で私たちはこの5年間の運動を総括し、6年目以降の運動をどう展開していくか。第6回総会をどう位置付けるかを討議してきました。

 そのひとつの柱は、6月の森岡講演『企業責任と働くルール』をさらに学習ゼミナールとして発展・継続していこうということになりました。森岡教授もチューターとして参加していただくことも決まり、5回シリーズのうち既に第1回目のゼミは開催できました。今後損保の民主化の課題と関連して、「損保の企業責任と損保労働者の働くルール」を視野に入れて、ゼミの充実を図っていきたいと考えています。

 もう1つの柱は、第6回総会に相応しい講師と講演をどうするかということでした。

いろんな方の名前が挙がりましたが、呼びたいような著名な方は大変お忙しくなかなか日程が合わないという難点もあり、苦労をかさねている時に、品川さんが朝日新聞社発行の『論座』で平和憲法について論じられているのを読みました。さらにその直後、赤旗日曜版で「日本の右傾化を憂う。憲法はしがみついてでも守らなければならない」という記事が出ました。

この二つの記事の中で品川さんは自らの戦争体験を交え、平和憲法の大切さを強調されています。私はその中で「いずれ世界平和に関して日本がアメリカの姿勢を問う時代が来る。それは平和憲法の役割である」という指摘に強い感動を受けました。

 世話人会では「ぜひ品川さんにお願いしよう」ということになり、「OKが取れるまで大阪に帰ってくるな」という厳しい宿題を抱え、お願いに上がりました。お聞きしますと大変お忙しい毎日で、くわえて品川さんの「平和憲法」発言以来、中央官庁の省、経済団体、政党、国会議員などから経済問題や憲法についての講演・パネラーの要請が続いているとのことで、それらをすべて断っているとのことでした。したがって、われわれもダメかなと思いましたが、最後に「これから10月から年内の日程を確定するが、キミ達のことも念頭に置いて考える」といっていただきました。そして3週間後、9月1日OKの返答をいただきました。

 この間、小泉第二次内閣が発足し、先週10日には国会解散、本日の第六回総会は事実上の選挙戦が開始されている中で迎えました。小泉首相は自民党が結成50周年を迎える2005年までに自民党の改憲案をまとめるよう指示しています。あさって、ブッシュ大統領が来日し、日本のイラク戦争の戦費負担と自衛隊のイラク派兵を要求するといわれています。

 今回の選挙の大きな争点は憲法改悪を許すか、さらに消費税の大増税を許すかの二つが問われている選挙です。さらに大阪に生きるものとして総選挙の直後に大阪市長選挙があり、来年2月には大阪府知事選挙があり、国民・府民・市民として今後の進路が問われている最中にあります。さらに今週末から日本シリーズが始まります。タイガースが優勝するかどうかも大阪の発展・活性化と関わっており、気の抜けない日々が続くわけであります。このようなときにトラファンでもある品川さんの平和憲法についての講演が実現したわけで大変意義深いことだと思います。この講演内容をどのように仲間に広げていくか、改憲を許さないために私たちがどう奮闘するかが、新年度早々からの課題になると思います。

 品川さんの経歴はもうみなさんご存知のとおりですが、簡単に紹介いたいと思います。品川さんは1924年、神戸で誕生。神戸2中、三高に進まれ、戦争中は中国大陸で従軍されました。戦後東大卒業後、日本火災に入社されました。昭和20年代の最後は3年間大阪で勤務され、関西勤労協の第一期卒業生であります。その後、全損保日火支部委員長・本部副委員長を歴任されました。日本火災社長・会長の後、経済同友会の専務理事・副代表を務められ、現在終身幹事という日本の経済界を代表する立場におられます。先ほど述べましたように大変ご多忙の中、私たちの総会での講演を受けていただきました。厚く御礼を申し上げ、開会の挨拶といたします。それでは、品川さん、よろしくお願いいたします。