大阪損保革新懇の活動紹介 11

『ホームページ開設記念講演会』報告        2002年4月17日

 淀屋橋・AAホール

ホームページ開設と損保革新懇運動の新たな展望

代表世話人 野村英隆


 皆さん、今晩は。お忙しい中、本日の講演会によくお越しくださいました。

 押尾先生から大変体系的に、分かりやすく、かつ格調高く、“ミレア”と“ジャパン”の現代損保最前線の情勢にかかわるお話を聞かせていただきました。(講演集Dに再録) 私たちはただ今の『押尾講演』を踏まえ、ますます激動・激化する損保情勢・損保労働情勢の中で今後どのような損保革新懇運動を展開していくのかということが問われていると思います。ちょうど今日、私たちのホームページが開通しました。

 したがって、すこし大袈裟ですが、『ホームページ開設と損保革新懇運動の新たな展望』と題し、世話人会を代表して報告したいと思います。

『全国革新懇・全国交流集会』での報告

 2月前、2月15・16日、『全国革新懇・全国交流集会』が大阪市内で開催されました。ちょうど、私たちが映画『郡上一揆』上映を取り組んだ同じ日でした。この全国交流集会には全国から560名、損保の仲間は東京・新潟・石川・香川から7名が参加し、大阪からの8名計13名で初めて損保交流集会を心斎橋の居酒屋で持つことができました。

 参加者全員は酒の勢いもありましたが、それぞれの地域でもっと活動を広げていこうという決意と他の地域でも損保革新懇の結成を呼びかけ、2年後の全国交流集会にはもっともっと多い損保の仲間で交流集会を成功させようと誓い合いました。2年前、愛知県犬山で開催された全国交流集会では損保は大阪だけでした。その2年前、神戸では私たちはまだ姿も形もありませんでした。

 この『全国革新懇・全国交流集会』が開催される直前、全国革新懇事務局から「職場革新懇の代表として大阪損保革新懇から報告してほしい」という要請を受けました。持ち時間は10分でしたが、今日お配りした資料の通り、私は結成以降の取り組みと教訓、現在の損保情勢の中での損保革新懇運動の課題、ホームページ開設の検討などについて報告しました。(発言内容は「活動紹介10」に再録)

 報告の後、休憩時間に複数の参加者から「いい報告だった」とか、「ホームページをぜひ実現してください」いう声を頂戴したことは嬉しいことでした。この程、この発言を含めた交流集会記録集『新しい政治のうねりを起こす共同を』が発行されました。100部買い取りましたので、全国の様々な革新懇運動を学ぶ意味でも、ぜひお買い求めいただきますようお願いします。

本日の『押尾講演』の意義

 さて、私は『全国交流集会』では「4月にはホームページ開設記念“今、損保の職場はどうなっているか、パート・の開催を検討している」と報告しました。実は、当初今日の集会は第3回目シンポジウムとして開催したいと考えていました。

 本日ご参加の皆さんは今まで2回のシンポジウムに出席された方も多いと思います。  一昨年はブックレット『損保の未来』刊行記念シンポジウムとして『品川講演』で提起された問題を「価格破壊」「地域営業」「外勤営業」「損害調査サービス」の4つに分けて取り上げました。昨年のシンポジウムでは「合併統合」合理化・効率化政策が具体的に進行している中で7つの職場の状況・実態と職場での闘いの決意が報告されました。

 あれから1年、今損保産業はどの方向に向かっているのでしょうか。昨年の第4回総会には保険ジャーナリスト・元保険毎日新聞編集長を招きました。中崎さんは「損保業界の現状をどう見るか」について触れた後、競争がもたらす“資産の劣化”として、契約構造の劣化、代理店の劣化、人材の劣化の3つを指摘されました。私は「中崎さんは“劣化”という言葉を使ったが、これは産業ぐるみの“貧困化”が進んでいる姿を見事に表現されたな」と思いました。

 損保の職場もどうなっているでしょうか。昨年、報告に立った皆さんにその後の状況を報告してもらい、さらに昨年時間の関係で報告してもらえなかった“あいおい”や“ミレア”参画の中での日動の外勤労働者の状況も聞きたいところです。きっと、すざまじい職場の「貧困化」の進行が明らかにされることだと思います。

 しかし今、それ以上に重要で急がなければならないことは、損保最大の“ミレア”と“ジャパン”で進められている戦略とそれらが損保産業と損保労働者にもたらすであろう方向や影響を根っこで押さえ、その上で今後の損保革新懇運動の課題を確認し合うことではないかということに至りました。そういう意味でも先程の『押尾講演』は私たちの期待に応えていただく内容となりました。

自前のホームページを開設しよう

 皆さん、私たち大阪損保革新懇は結成後、3年半経ちました。実際、様々な運動を取り組み、全国でも注目されるホワイトカラーの職場革新懇の一つになったことも自負できると思います。しかし、3年半頑張ってきたけれど、私たちの存在はどこまで知られているか、私たちの運動はどこまで広がっているのでしょうか。私たちは昨年の総会アピールで「職場に革新懇の風を吹かせよう」と誓い合いました。しかし、会員の皆さんの頑張りやニユース・ビラを中心とした活動では「風を吹かせる」には率直にいって限界も弱点もまだまだあると言わざるを得ないと思います。

 ところで、現代社会は「IT時代」「IT社会」といわれるように「IT化」があらゆる分野で進んでいます。その一つとしてホームページの開設・内容充実も今後もあらゆる分野で進められ、情報提供・情報交換活動が展開されていくと思います。

 損保関係でも損保協会・ほとんどの会社、代協・数多くの代理店などが開いています。労組関係でも全損保・損保労連・四支部共同会議が開いています。四支部共同会議の「損保のなかま」は最新号や見開きページで取り上げた問題のバックナンバーが出てきます。ごく最近、「損保ジャパン新労組設立準備委員会」のホームページが開かれましたが、狙いは明らかだと思います。

 このような状況を見るとき、私たちも自らホームページを開設し、私たちの存在・活動報告・活動方針・当面の具体課題などを広く全国の損保の仲間に呼びかけていくことは重要な課題とか使命ではないかと考えるようになりました。とりわけ、大阪でまだ手が届き切れていない仲間が多くいますし、今後の再編によって机を並べることになるであろう仲間に呼びかけていくことはより重要になってきています。

 世話人会では昨年11月、ホームページ検討委員会を発足させ、ホームページ開設の討議を始めました。データーのインプットをどうするのか、投資費用や今後の回転費用をどうするか、今後の管理体制・データーの更新をどうするか。そして最も大切な全国の仲間にホームページを開いてもらう・アクセスしてもらう運動をどう展開していくかなどの難問が続きました。

 その多くの課題は今後も抱えますが、この2ヶ月、事務局とパソコンに明るい世話人メンバーの大奮闘の結果、本日この会場で皆さんに「大阪損保革新懇ホームページ」が開通したことを報告できるに至りました。全国の地域・職場革新懇でホームページを開設していているところはない、もしあっても極めて少ないでしょう。

 私たちは今までの主として口コミ・ビラ・ニュースなどによる「手作り的革新懇運動から最先端インターネットをも活用する革新懇運動へ」という新しいステージに立つことになりました。このことは文字通り、損保革新懇運動を大阪から全国の仲間に発信できることにつながる訳でもあります。

ホームページの内容

 それでは次に、ホームページの内容について説明したいと思います。画面の見本をお配りしたように、いきなり大文字で私たちのキャッチフレーズである『どうなる?どうする!損保の未来』が出てきます。その次に「ようこそ!ホームページヘ!!私たちは大阪損保革新懇です」が現れます。

 最初の「大阪損保革新懇」ってなに?ではこんな説明が入ります。『みなさん、ようこそ、「大阪損保革新懇」のホームページを開いてくださいましてありがとうございます。私たちの「大阪損保革新懇」の正式名称は少々長いのですが、「21世紀の平和・民主主義・革新と損保の民主化を求める、大阪損保革新懇話会」と申します。私たちは全国革新懇の掲げる三つの革新目標に損害保険産業の民主的な発展をめざすという目標を付け加え、1998年10月に発足した職場革新懇です。

 この革新懇の特徴は思想・信条・所属労働組合・労働組合経験有無・組合員非組合員・現役・OBなどに全く関係なく、私たちが掲げる革新共同目標を支持・賛同される人ならだれでも入ることができる損害保険産業では初めての自由で革新的な横断組織です。

 今回、私たちは結成以降のほぼすべての活動を盛り込んだホームページを開設し、全国の皆さんにお届けすることにしました。激動する損保情勢のもとで今後もつど内容を更新していくつもりです。できるだけ多くの皆さんがこのホームページを開いていただきますよう心から呼びかけます。』

 次に会則、2002年度世話人名簿、私たちの所在・電話番号が出てきます。次の「お知らせ 今後の活動」ページは次のイベントなどを紹介していくコーナーです。次の「総会アピール集」は結成の呼びかけと第一回から昨年の第四回総会までの5つのアピール全文がでてきます。その時々の情勢認識や運動の到達点や課題をトレースしてもらえると思います。

 その次の「ニュース一覧」は今まで発行した「大阪損保革新懇ニュース」のほぼ全ページを再録しました。他のところでは過去のニュースをマイクロフィルムやデシタルカメラで写してパソコンでページを作ることは可能ですが、財政的に厳しいわが方はそうは参りません。事務局の野口・大川両氏がすべて手作業でパソコンとワープロで入力してくれました。二人の「高密度長時間タダ労働」がなければ今日を迎えることはできませんでした。後の二次会でしっかり激励してあげてください。

 その次の「活動紹介」は自らの口で言いにくいのですが、代表世話人たる私の公的発言を再録しています。総会・シンポジウム・イベントでの開会挨拶、雑誌『労働運動』『前衛』に掲載された論文、先程の全国革新懇での発言など10項が出てきます。節々の活動を振り返ることができると思います。

 次が「講演録集」です。ここには『品川講演』『宗藤講演』『林講演』『中崎講演』全文をインプットしました。それぞれが大変長文ですが、水準の高い革新懇らしい講演録集です。今日の『押尾講演』も出来るだけ早くこの中に入れたいと思っています。

 その下に「感想・ご意見」の欄を設けました。全国の皆さんから寄せられたメールを返していこうと考えています。

 題字の左上に『ブックレット“どうなるどうする損保の未来”』があります。ここをクリックしますと「ブックレットの目次」と第一部『品川講演』、第二部所収の「価格破壊問題」提言、「岸和田」座談会、「外勤・代理店」座談会、「損害調査」座談会、「朝日火災闘争」座談会などほぼが全文出てきます。最後にブックレットの購読申込受付も表示しています。                                   その右のシンポジウム『今、損保の職場はどうなっているか』は昨年のシンポジウム全報告、すなわち桜田教授基調報告、7職場の闘いの報告、河村弁護士によるまとめ報告が出てきます。これも大変長文です。

 以上の内容は1行40字・36行のA4判で200ページを優に越え、新書本の2冊分に相当する量です。

ホームページをどう読んでもらうか

 それでは、「私たちのホームページはできました。パソコン持っている人は暇なときに見てくださいね」と言うことだけで済むのか。そうはいきません。

 この内容の厚いホームページを多くの人にアクセスしてもらう、読んでもらう運動をどう展開していくかが今後の課題です。これからみんなでどうするか。

 世話人会としては明日以降、今日お配りした「ホームページ開設ニュース、号外版」を大量に印刷します。同時に外部向けに「ホームページ開設のご挨拶」葉書も作成し、各界に出状します。世話人個々人も自らの交遊ネットワークで知人・仲間にPRしていきます。 職場世話人と会員の皆さんにはこの「号外版」を届けます。みんなで『品川講演』『川田悦子さん講演』をはじめ映画『ブラス』『郡上一揆』を成功させたような、ブックレット『損保の未来』を全国に普及させたような取り組みをさらに上回る取り組みを職場の仲間だけでなく、全国の仲間に広げる運動を力づよく始めます。

 家にパソコンがある皆さんは今日家に帰ってから、まず「大阪損保革新懇」のアドレスを検索してみてください。でも、一気に全部読まないでください。一気に読んだら疲れること請け合いです。毎日5ページでも10ページ−でも少しずつ開いてください。

 まだ、パソコンを入れていない人や「そのうちに」と考えられている人もおられるでしょう。その皆さんも今後必ずパソコンを入れる必要が生じてくると思います。かく申す私もパソコン1年生です。人生と世界が広がりました。ぜひ、この機会にパソコン入門を決意してくださいますようお願いいたします。

さあ!職場に革新懇の風を吹かせよう

 さて、皆さん、私たちはインターネットを通じて、損保革新懇運動を全国的に打って出ることになりました。私たちのホームページは量もさることながら、その質的な内容においても自信と誇りを充分持てるものと確信します。

 『中崎講演』で指摘されたように、私たちは損保産業内のNGO・NPO的な存在であると言ってもいいと思います。私流に言い換えますと損保革新懇はNCO(ノン・カンパニー・オーガナイゼーション)、すなわち「非会社組織」であり、またNUO(ノン・ユニオン・オーガナイゼーション)、すなわち「非労働組合組織」でもあります。さらにNPO(ノン・プロフイット・オーガナイゼーション)は「非営利組織」ですが、われわれはNMO(ノー・マネー・オーガナイゼーション)でもあります。

 このことは、私たちは会社のように業務命令を出すことはできないし、労働組合のように統制をかけることもできません。しかも金もない。会員の会費と今日のような協力金で運営している自主的に独立した「非会社」「非労働組合」組織です。そんな力も金もない組織が、『どうなるどうする損保の未来』を掲げ、この産業のあり方に関するホームページを開いた訳ですから、話題・反響を呼び起こさない筈はないと思います。寄せられた多くの意見や声をまたみんなに返していく運動につなげていきたいと思います。

 最後になりましたが、今、明るい芽が生まれ始めています。今までの私たちの運動は世話人会・事務局主導の面がありました。だが、昨年来日産では“ジャパン”の発足を前にして、共栄では“ミレア”参加を機に、“あいおい”では楠目君の夫婦別居配転を機に職場革新懇の仲間たちが集い、語り合う会が定着しつつあります。若い仲間がどんどん参加し始めています。この人たちによって来月には今までになかったイベントが計画されています。冒頭に紹介しましたように全国各地にも損保革新懇運動が台頭しつつあります。

 ホームページ開設と若い新しい職場の仲間の力をドッキングし、職場に革新懇の風を吹かせようではありませんか。全国に打って出る以上、日本の平和と民主主義、損保産業の民主化実現をめざすという高い志と自信をもう一度再確認し、互いに奮闘しようではありませんか。

 ちょうど1年前、小泉首相は華々しく登場しましたが、キャッチフレーズの「改革」は全く進まず、連立政権の悪政ぶりは日に日に明らかになっており、内閣支持率もドンドン低落しています。しかし小泉内閣はこの国会で「有事法案」=「国家戦争法案」を成立させようと企んでいます。この面からも私たちの奮闘が求められています。

 皆さん、この秋の第五回総会では運動の成果をみんなが持ち寄り、確認し合えるよう力一杯頑張り合おうではありませんか。

 以上、世話人会を代表して報告を終わります。ありがとうございました。