2003.3.7 講演会で採択したアピール

 アメリカは国連安全保障理事会に、新決議案を提出し、いよいよ戦争に踏み込もうとしています。

「イラクへの戦争はやめて」―今、世界と日本で、イラク問題の平和的な解決を求める声が、日々広がっています。

先日は、アメリカの対イラク戦争に反対する大規模な運動がアメリカを含む世界76カ国、600以上の都市で取り組まれ、1000万人を超す史上空前の規模で、人々が立ち上がりました。

私たちがイラク戦争に反対するのは、第一に、罪なき人々が”無法な力”によって殺されることは許されない、ということです。この戦争が引き起こされたとき、罪のない子どもたち、女性、男性、お年寄り、これらの人々がどれだけ犠牲になるか、計り知れません。

また、いま戦争をはじめれば、ことはアメリカとイラクとの間の戦争にはとどまりません。

イスラムの世界と、アメリカ・ヨーロッパとの間の対決の引きがねになり、世界が新たな紛争と対決のるつぼに投げ込まれます。そして、その結果が世界に与える社会的・経済的影響は、だれも予想がつかないのです。

もう一つ重要なことは、超大国のアメリカが、国際ルールを無視して勝手に戦争をはじめることを認めたら、これまて築いてきた平和の国際ルールがこわされてしまう、ということです。私たち「大阪損保革新懇」は、「損害保険産業は、戦争で発展する産業ではなく、世界の平和や日本経済の健全な発展と国民生活の向上とともに地道に成長し、その発展と向上を支える産業」だと考えています。

第二次世界大戦が終わった時、損害保険産業の再建に携わった先輩たちは、「保険は平和産業」を合言葉にしていました。

損害保険の科学性や商業ベースでの合理性を無視して国の政策である戦争の流れに組み込まれた時にどんなひどい結果がもたらされるのか、その恐怖を身にしみて感じとったからでした。

国策による「戦争保険」の引き受けで、収入保険料の何倍・何十倍もの保険金支払の責務を負いました。加えて支払のための資金は「国債」中心に運用するしかありませんでしたので、敗戦で、その「国債」が紙くずになってしまったのでした。

また、戦争で国民や企業の資産が焼失したため、保険市場そのものが大幅に失われたのです。まさに「ゼロからの出発」でした。

長く損保協会専務理事を務められた塙善多氏は当時東京海上の戦争保険課の係長だったそうですが、終戦直前の状況を、

「戦争保険の仕事は、空襲で焼け出された人々に対し書類上の処理で罹災証明書を持っている人に保険金を支払うというものでした。保険金請求の人は、数百メートルも並び、一方、会社の社員は徴兵等で少なく、まさにその受付業務は戦場のような騒ぎでした」と自らの著書で記されています。

みなさん、私たちは、世界に誇ることのできる「平和の憲法」を持っている国民です。
また、世界でただ一つ「原爆の被害」を受けた国民です。
今、大きく「戦争をはじめるな!平和を!」の声をあげようではありませんか!

            2003年3月7日 大阪損保革新懇