2006年11月7日
大阪損保革新懇第9回総会開会挨拶
代表世話人 野村英隆

 みなさん、今晩は。第9回総会開会に当たり、挨拶を申し述べます。
 今回も多くのみなさんの参加で第9回総会が開会できたことをおたがいに喜び合いたいと思います。私たちは今年も力一杯革新懇活動を取り組み、本日を迎えました。
 昨年は憲法改悪反対署名運動の推進、宮島損保平和集会の成功、27年間みんなで闘った朝日闘争勝利など大きな前進を勝ち取りました。
 激動が続くもとでこれらの成果をどのように発展させるかが8年目の課題でした。
 世話人会では昨年の宮島平和集会を上回る全国的な壮大な運動の展開を呼びかけることになりました。昨年広島の9団体に加え札幌・宮城・静岡・九州の仲間にも呼びかけたところすべての組織から協賛・賛同の意向が寄せられました。
 具体的にはブックレットの刊行、大阪でのシンポジウム開催と成功、全国的なブックレットの普及運動を展開することをめざすことになりました。
 ブックレット第二部の「損保産業の現状を考える」は情報や資料の乏しい大阪で最新の損保産業を分析することはいま振り返ってもシンドイ作業でした。しかし、みんなの力で自由化以降の歩み・特徴・問題点をわかりやすく説明できたと思います。この中で損保産業も新自由主義・規制緩和の流れが強まる中で、従業員と代理店に対するリストラと合理化を進め、利益・効率第一主義の産業に変質したことなどを分析し、最近の相次ぐ業務停止命令の背景についても明らかにしました。さらにイラク派遣の自衛隊にPKO保険が適用されたたこと、耐震偽装事件から建築リスク損保への肩代わり、今後の労災保険の民間移行などの問題点も指摘できました。第三部はシンポジウムの内容を取り上げました。5人の仲間は勇気をもつて現状を訴えてくれました。 
 これらの内容について多くの方々から感想が寄せられましたが、雑誌『経済』友寄編集長や青山学院大学本間教授からも激励の感想をいただきました。
 ブックレットは1000部増刷し、計7000部は残部なしという状況になりました。
 5年前のブックレット『損保の未来』も7000部近く配布できましたが、今回と前回は異なる事情がありました。前回の普及活動は大阪だけが中心でした。今回は全国14の協賛団体の仲間がさまざまな工夫を重ね、配布活動を展開しました。もうひとつの違いは前回は組合分裂前でした。三井・日火・日産・大成の仲間は全員が大阪分会に所属していました。日火分会のように分会委員会で読みあい、全員配布を委員会で決めて、400部配布したところもありました。他のところでも多くの組合員に渡すことができました。
 しかし今回は、一人一人が一部ずつ職場の仲間に声をかけて手渡し、買ってもらうという運動が必要でした。また各地の仲間に手紙をつけ、代金を振り込んでもらう取り組みを進めました。教育基本法や君が代・日の丸問題で闘っている都教組や大教組の先生方や数県の革新懇からも多くの注文を受けました。これらの積み重ねの結果の7000部です。
 憲法改悪情勢が進む中、全国で6000近い『9条の会』が組織され、憲法を守る活動が展開されているときに全国の損保革新懇と損保9条の会が協力・共同して、このような活動が展開できたこと、そして大阪損保革新懇がそのセンター的な役割を担えたことは8年間の活動の蓄積があったからこそだと確信をもって振り返っておきたいと思います。


 さて、安倍内閣が誕生して、一気に右より路線タカ派路線を急速に進めています。安倍首相は「5年以内に憲法改正をする」といい、今国会で国民投票法の成立を図ろうとしています。憲法改正の地ならしとして教育基本法も今国会の最重要法案としています。防衛庁の防衛省への格上げもアメリカ軍事一体化と憲法改悪、自衛軍への変更とかかわっています。核武装・核保有も言い出す閣僚も出ています。
 一方、国民の側ではますます格差と貧困が拡大し、教育・医療・福祉政策などでの切捨てとの近い将来の消費税値上げの動きのなかで生活設計が成り立たなくなってきています。国民的な反撃のうねりが高まっています。全国でどんどん「9条の会」が組織されています。私たちも広範な人たちと一緒になって、職場革新懇の一つとして9年目、一層の活動が求められています。品川さんは最新刊『9条がつくる脱アメリカ型国家』の最後で「私はこの世界史的な変革に日本国民の一人として立ち会えたことを生涯の誇りと思う。いい死に場所を得たと心の中で快哉を叫んでいる」と書かれています。82歳の人にこんなことを言わせていいのか。今日から始まる9年目の活動を力いっぱい進めていく決意をみんなで固めたいと思います。

 一言、品川さんの新刊書を紹介します。品川さんは10月に2冊の本を出されました。一つは青灯社刊『9条がつくる脱アメリカ型国家』、もうひとつは新日本出版社『これからの日本の座標軸』です。前者は書き下ろしで、格調高い文体です。引用されている資料も多く、わかりやすい論調です。品川さんが今、北朝鮮問題で大活躍中の中国の唐家?国務委員と親しい関係にあることが明らかにされていますが、今後注目され、話題になると思います。最後は「日本とアメリカの価値観は違う」として整理され、明確な結論・主張をされています。もうひとつの『これからの日本の座標軸』はあまり例のない変わった本です。品川さんは大学3年在学中に新制中学一期生の社会科の先生として教えるのですが、その教え子たちの希望で43年後の1991年から年に一回講義をした12回の講義録です。この本でも一貫して『品川現代政治経済論・品川史観・品川座標軸論』を展開されており、感動の連続でした。品川さんから「大阪損保革新懇のみなさんに読んでもらってください」といわれています。是非お求め下さいますようお願いいたします。

 さて、今日から9年目の活動に入ります。 9年前、大阪損保革新懇が誕生したときは大阪唯一つだけでしたが、いま14の損保革新懇と損保9条の会が奮闘しています。私たちのたたかいが着実に広がっていることに革新と展望をもちたいと思います。
 その第一弾として日本興亜の「私的時間」を取り上げ、「パワーハラスメント」で闘っている田崎博美さんを支援する構成劇から始めます。大阪損保革新懇総会で構成劇の上演は初めてのことであります。
 ついで石川先生の講演に移ります。石川先生は札幌生まれ。立命館大学経済学部、京都大学大学院経済学研究科を経て、現在は神戸女学院大学文学部教授です。関西勤労者教育協会常任理事、兵庫革新懇代表世話人、憲法が輝く兵庫県政をつくる会代表幹事をされています。石川先生の一連の発言・著書を読んで、かねてから大阪損保革新懇の講師にお招きしたいという人を話し合っていましたが、今日とうとう実現しました。鋭く安倍路線を切っていただく講演をお願いしています。
 それでは構成劇の上演からはじめます。大阪損保革新懇劇団のみなさんよろしくお願いいたします。